我が家の息子は、スポーツ推薦でスポーツ強豪高校(私立)と大学(私立)に入学しました。
息子は無事に卒業と進学を果たし、2019年現在も選手として大学に所属しています。
一緒に入学した子供の中には、スポーツ推薦で入学しても様々な理由で退部してしまった仲間もいます。
退部してしまった子たちも、入学する時は夢や希望にあふれた高校生活・部活動での活躍を想像していたはずです。退部するなんて夢にも思っていなかったでしょう。
しかし残念な事に多くのスポーツ強豪高校で、毎年のように退部者が出ているのも事実です。
経験談
これは私自身が子供を通して経験したことです。
我が家の息子と同様にスポーツ推薦で、同じ地元から中学校は違いましたが仲の良い子が同じ高校に入学しました。
名前をA君とさせていただきます。
A君は体にも恵まれ、中学時代も我が家の息子よりもずっと成績を残している子でした。
高校の監督もとても期待していたはずです。
ただ少し心配ではありました。
同じ地元でしたので、A君の素行の悪さを耳にしていたからです。
しかし息子とはスポーツを通して交流があり、息子にはとても親切にしてくれる子でした。
高校は車で5時間かかる事から、息子もA君も寮生活でした。部活内の生徒の9割は寮生活をしていました。
高校に入学して2週間が過ぎた頃、A君の母親から私に電話が来ました。
「うちのAが先輩にいじめられているようだ」
という内容の電話でした。
私はとても心配になりましたが、息子に電話で確認したりはせず、何かあれば連絡が来るはずなのでそっと見守る事にしました。
それからというもの、1日おきくらいにA君のお母さんから電話が来るようになりました。
「息子の様子がおかしい」
「鬱になっているようだ」
「死にたいと言っている」
との事で私はいてもたってもいられず息子に電話をしました。
息子からはA君について、学校でも部活でも元気で心配いらないと思うと伝えられました。実際に息子も自分の事で精一杯で周りを気にできる状況ではなかったのかもしれません。
結論から言うと、A君は8月の初めに学校を辞めてしまいました。
部活だけでなく、高校も中退してしまったのです。
A君は鬱にはなっておらず、彼女と毎日楽しそうに電話をしたり、学校でも友達とにぎやかにしていたようでした。これを聞いて安心したのを覚えています。
中退後のトラブル
A君はスムーズには中退しませんでした。
A君のお母さんと出身少年団の指導者が、高校にいじめがあったと訴えてきたのです。
高校側は、同じ部活に所属している生徒や寮生に聞き取り調査を始めました。
その結果、A君が同級生をいじめていた事・同級生の物を勝手に使ったり食べたりしていた事・練習態度が悪かった事、などをお世話係の先輩に注意されていたことが解りました。最初は優しく注意していた先輩も、段々厳しくなっていった事実はあったようです。
特に1年生である同級生に、先輩からのいじめはあったかという事について、詳しく聞き取りをした様子でした。
その結果いじめと認められるものはなかったと判断され、逆にA君の窃盗などが浮かび上がる結果になってしまいました。
私は全く息子から連絡がなかったので、寝耳に水で驚きを隠せなかったのを覚えています。
A君のお母さんと指導者は、自主退学という形で無言で引き下がる事になりました。
後から聞いたことですが、その際謝罪などは一切なかったとの事です。
その後のA君の高校
少し説明ですが、高校を映る際『転入学』と『編入学』というのがあります。
『転入学』は、現在高校に在籍している生徒が学校を辞めずに別の高校に移る事をさします。
『編入学』は、高校を退学した生徒が別の高校に再入学する事を指します。
一般的に『転入学』の方が決まりやすい傾向にあります。
A君は地元で同じスポーツの部活を比較的熱心にやっている高校に編入を希望しました。
しかし欠員が出ていたにもかかわらず、編入する事が出来ませんでした。
その他にも希望を出した高校全てに断られてしまいました。
おそらく編入を希望した高校側が、退学した高校になぜ退学したか事情を聴かれた為と考えられます。
A君はスポーツ推薦を受けるほど結果を出していたスポーツを、高校でやめる結果となりました。
その後通信制の高校に通っていました。
A君が転入する方法はあった?
A君が希望する地元の高校に転入する方法はなかったのでしょうか?
実は同じような事例が数年前にありました。
スポーツ推薦で入学したB君の話です。
B君は練習態度を注意された先輩に暴力をふるい、その後寮から逃げ出してしまいました。
1週間後B君は、出身少年団の指導者と親と一緒に、高校側と監督と暴力をふっるってしまった先輩に謝罪に来ました。
そして地元の高校に転入学を希望し、高校側が配慮してくれ、地元の高校に入学する事が出来ました。
B君は、地元でそのスポーツに力を入れている高校に転入する事が出来、全国大会には出場できなかったものの地区大会では入賞するなどの成績を収めていました。
もし退部や退学という事態になった時は、B君のように誠実な対応をすれば最善の道が開かれる可能性があるかもしれません。
1番してはいけない事は、しっかりとした事実確認が出来ていない状況で騒ぎ立ててしまう事です。
まとめ
スポーツ強豪高校にスポーツ推薦で入学する際は、親も子も覚悟が必要です。
以前こちらで記事にしています。
子供がスポーツ強豪校に行く前の親の心構えとアドバイス
高校スポーツ推薦後の寮生活での裏話とアドバイス
『スポーツ強豪高校のブランドが欲しい』・『スポーツ推薦で合格の確約をもらっているから勉強しなくていい』などという甘い考えで入学を考えているなら、絶対に親元から通える地元の高校をお勧めします。
A君の出身した少年団は、退学した高校からそれ以来スカウトを受ける事が出来ていません。後輩の中には、その高校を希望していた子たちもいたのに悲しい事です。
A君は残念ながら自主退学する事となってしまいましたが、必ずしも「退部=退学」というわけではありません。スポーツ推薦で入学する際は、もし退部する事になった時はどうなるのかをしっかりと高校側に確認しておくことをお勧めします。
聞き辛い事ですが、授業料などの免除を受けているなら必ず確認した方が良いでしょう。
考えたくはないですが、大きな怪我などで部活を諦め勉強に専念するという事が絶対にないとは限りません。起こってからトラブルになるより先に尋ねる方が賢明です。
スポーツ強豪高校では、人一倍の努力が当たり前となっている子供たちが集まっています。
例えスポーツで結果が出せなくても、そこで3年間過ごせばそれが結果となってその後の人生を後押ししてくれることは間違いないでしょう。
今回は少し暗い話になってしまいましたが、1つ言える事は精一杯やっている子供にはどんな状況でも救いの手が差し伸べられます。
精一杯やっていれば、先輩も同級生もきっと認めてくれるはずです。